2023年7月1日
金融業界出身のHです。
近時、営業情報の漏洩についていくつか事件が掲載されていましたので、それに関連して少し書いてみたいと思います。
5月1日に、大手商社「双日」の30代男性社員が、同業他社から転職する際、情報を不正に持ち出したとして、不正競争防止法の疑いで逮捕されました。
又少し前ですが、大手回転寿司チェーン「カッパ・クリエイト」社長等が、同じく大手回転寿司チェーン「はま寿司」の営業情報を不法に取得したとして逮捕状を取られています。
いずれも転職する際に以前勤務した会社から、営業情報が持ち出されたケースです。
少し前の調査ですが、従業員と「秘密保持契約」を結んでいる企業は、50%程度と言われています。
又持ち出す側に罪の意識が薄く、転職先企業側の情報を持ち込まれるリスクへの意識も十分とは言えないことが背景にある様です。
2003年、不正競争防止法に基づく営業秘密侵害罪が創設され、同法に違反した場合、個人の場合には10年以下の懲役もしくは2000万円以下の罰金またはその両方、法人は5億円以下の罰金が課せられます。
今後、益々社員もしくは管理職の雇用流動化が進むと想定されています。
これらのリスクをどう防ぐのかについても社内で真剣に議論されるべきでしょう。
法律上は「秘密管理性」「有用性」「非公知性」が営業秘密の3要件とされています。
但し、これらの要件を備えていないノウハウや人的資源等、他に漏らされては困る事柄も沢山あるのです。
企業としては、社員の間で、「スキル」「ノウハウ」は出来るだけ水平展開して欲しい反面、常に漏洩リスクに晒されるというジレンマに陥ります。
これら企業の「知恵」の様なものをいかに守るのか。非常に難しいテーマだと思います。